スポーツによる日のけがA
前房出血・外傷性緑内障

  十年後に症状が出る例も
 前回は、目の周りの骨の骨折(ふきぬけ骨折)についてお話ししましたが、スポーツによるけがは、眼球自体にも大きな影響が出ます。今回からは、眼球内での変化について説明します。
 目に、外から強い力が瞬間的に加わると、100分の1秒単位で目の中に振動を生じ、各部分でズレを生じます。これにより、組織がちぎれてしまいます。黒目(角膜)と茶色目(虹彩)の付け根(隅角)で、ずれを生じたものが、隅角解離と言われるもので、組織がちぎれるために出血を生じます。この出血は、角膜と虹彩のスペース(前房)に広がります。これが前房出血です。
 前房出血を生じると、瞳のところが血液で覆われるために見えにくくなります。
 出血の量が少ないと、少しかすむ程度ですが、多い場合には全く見えなくなることもあります。この出血は、1週間ほどで完全に吸収されますが、出血量が多い場合には途中で眼圧(目のかたさ)が上がり、そのために血液が角膜に侵入して角膜染色を生じ、視力障害を残すこともあります。
 また、出血量が多い場合、眼圧が上がるために視神経の障害を生じることもあり、このために視力障害を残すこともあります(出血性緑内障)。
 さらに、安静状態が悪かったりすると再出血を生じることもあり、再出血を生じた場合には、なかなか出血が吸収されないことが多いため、小児の場合には、1週間程度入院のうえ経過観察治療をすることもあります。
 また、隅角解離部での出血が吸収して相当の期間が経過してから、眼圧の上昇を生じることがあります。これが外傷性緑内障で、前房出血が吸収して症状がなくなってからも、しばらくの間は経過をみてもらう必要があります。
 報告によれば、受傷後1年も経過してから眼圧上昇を生じた症例や、長いものでは、10年後に眼圧上昇を生じた症例の報告もあります。
 目のけがの場合、受傷後すぐに専門医で治療を受けることが大切ですが、長期の経過観察も大切です。
 
大澤 英一   


                                
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