スポーツによる目のけがB 
網膜振盪症・網膜硝子体出血

  自覚症状がないケースも
 目に外から強い力が瞬間的に加わると、100分の1秒単位で目の中に振動を生じ、各部分でずれを生じ、組織がちぎれてしまうことは前回にお話ししました。
 今回は、このずれが眼底で生じた場合の変化について説明します。
 眼底には、カメラのフィルムにあたる網膜があり、ここで光を感じて、その信号を脳に伝えていますが、この網膜の中の視細胞の突起と、その後ろの細胞との間でずれを生じて起こるのが、網膜振盪症です。
 外部からの力が弱い場合は、ずれも大きくなく、視細胞の障害も軽度で、眼底には浮腫を認めるのみで、1週間ほどで消えてしまいますが、外部からの力が強いと、ずれも大きくなり、視細胞やその下の細胞の障害が高度となります。
 最悪の場合、視細胞の突起が打撲の瞬間にちぎれてしまい、細胞が死んでしまいます。これが眼底の物を見る中心で生じると、その部分は光を感じなくなるために、高度の視力障害を残すことになります。こうなると、治療の方法がありません。
 また、網膜とその前の硝子体と言われる組織の間でも、ずれを生じます。
 この部分でずれを生じると、網膜と硝子体が強くくっついている所で網膜が引っ張られて破れたり、網膜の血管が破れたりして出血することがあります。
 この場合に、物を見る中心の網膜が破れることもあり、これを黄斑円孔と言い、中心部が全く見えなくなります。また、網膜の周辺で破れることもあります。これを網膜裂孔といい、この部分から網膜がはがれていくことがあります。これが網膜剥離で、早期に手術をしないと失明することもあります。特に、出血を伴って網膜剥離が生じている場合は、分かりにくい場合があります。
 このように、網膜硝子体出血には、ただ単に網膜の血管が破れて出血している場合と、網膜裂孔や網膜剥離を伴っている場合がありますので、注意が必要です。
 また、網膜の周辺部で裂孔のみ生じている場合には、自覚症状がないことが多く、注意が必要です。
 いずれにしても、目の打撲は簡単に考えずに、受傷後すぐに専門医で治療を受けることが大切です。
大澤 英一   



                                
ホームページへもくじへ前のページへ次のページへ